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日 付 2001/01/03  朝・夕刊 朝刊  特集  8  1版 
見出し WUB座談会/新世紀のネットビジネス模索/右下段からの続き/左上段に続く/第5回WUB世界大会10月29、30日東京で開催 
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WUB座談会/新世紀のネットビジネス模索/右下段からの続き/左上段に続く/第5回WUB世界大会10月29、30日東京で開催


 【東京】国内外に広がる沖縄系人のネットワークを網羅したビジネス展開を図ろうと、第五回WUB(ワールド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)世界大会が今年十月二十九、三十の両日、東京都内で開かれる。二十一世紀の幕開けとなる東京大会のテーマは「WUB21世紀へ―人、物、情報の継続」。大会運営を担うWUB東京(重田辰弥会長)では、インターネットなどIT(情報技術)を駆使した新世紀のネットワークビジネスを構築する好機にしようと、大会準備を進めている。重田会長、実行委員長を務めるブラジル銀行東京支店調査役の長嶺為泰氏、日本総研主任研究員の林志行氏、日本システム開発研究所研究員の吉浜織恵氏に、東京大会の意義やWUBの発展戦略について話し合ってもらった。(敬称略)

 司会 東京大会に向けてクリアする課題は。
 重田 WUB東京があと一年で何ができるかだ。できることと、やりたいことは違う。東京大会で可能なことを絞り込まないといけない。それは、東京の構成メンバーの特徴を抽出することだと思う。沖縄以外の人たちが積極的に活動し、学生など若い人も圧倒的に多い。業種ではIT産業が多い。東京がやりたいことは三つに絞られる。一つには、物販事業。二番目に出版事業、三番目はIT関連事業だ。
 長嶺 具体的には、中南米を主体にした物販事業、出版事業では海外百年の歴史がある移民史を作りたい。それらとITをどう絡めるか。今、それぞれの部会が立ち上がり、活動している。
 重田 とにかく人の出会いを演出し、提供する。ITを活用し、先進的なイベントにしたい。例えば、りんけんバンドのライブをインターネットで南米と結んで画面上で見せるとか、いくつかのアイデアはある。
 司会 今後のWUB戦略にアドバイスがあれば。
 林 華僑の話が出たが、華僑になろうとして、果たしてなれるのか。華僑は帰巣本能が強い。同じものを目指すなら、琉僑は沖縄に還流すべきだ。そのネットワークをどうつくっていくかが東京の役割だ。世界のウチナーンチュが集まってきて、「ここ(東京)でもうけましょう」というのはあまり現実的ではない。
 東京で起業するのは難しいが、共同で販売することはできる。物販であれば、わしたショップをうまく使えばいいし、サービス面でも、「アルバイトします」など、顔写真付きの求人、求職ブースがわした内にあってもいい。見本市のようなものを何年かに一回、東京で開くことも可能だ。ジェトロとか、通産省とか、そういう仕組みを使って応援してもらうことも考えられる。
 東京大会では、フーテンの寅さんのように、自分の商品や製品をかばんに詰め、「いろいろなところに連れて行ってくれ」という人もやって来るだろう。その時に、東京にサポートする人間がいるのかどうか。東京大会のインセンティブ(誘因)が大事だ。
 吉浜 WUB戦略では、プロモーションも工夫した方がよい。沖縄は今、日本国内でブランド化している。例えば、アクターズスクールのメンバーによるチャリティーコンサートなど、沖縄出身で、故郷に対する誇りをもちつつ活躍している人を活用する方法もあるだろう。「沖縄人気」をうまく利用して、ボランティアを集めることも可能だ。
 司会 どのような東京大会にしたいか。
 長嶺 経済的裏付けがある範囲内で物流会もやりたい。やはり、世界中から集まる人たちに、可能性があることを見せたい。また、世界大会までにメンバー全員が電子メールを持つことも大事だ。ネットワークをつくれば、ビジネスチャンスはすぐにつくれる。
 重田 WUB内のデジタル・デバイド(情報格差)をどう解決するかも課題だ。そのほかの問題提起など、メッセージ性のある情報を発信したい。東京には沖縄関連の団体も数多いが、東京大会を機にWUBのブランドを確立し、二十一世紀につなげたい。各国の組織は郷愁の念が強いが、東京はそうではない。東京WUBのアドバンテージはITだ。


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