|
日 付
|
2001/02/18 |
朝・夕刊
|
朝刊 |
面
|
その他 |
頁
|
5 |
版
|
１版 |
|
見出し
|
グローバル化する沖縄 移民ネットワーク／２／沖縄への帰属性統一必要／世界の中で普遍的価値観認識を／大嶺 隆 |
|
|
本 文
|
グローバル化する沖縄 移民ネットワーク／２／沖縄への帰属性統一必要／世界の中で普遍的価値観認識を／大嶺 隆
３、移民ネットワークの意義
この経済構造の質的変換をはかるプログラムは、国際標準の競争的市場原理を導入することであるから、これまでの地方経済内部からの自発的、持続的な自立経済のシナリオだけでは人的、資本的に不足し対応仕切れないだろう。またそれを構築するためのシステムの整備は、達成すべき産業政策のレベルと現実の地方経済の規模の乖離（かいり）状況を前に、即時的には厳しいものがある。その意味で、県外、海外の競争的市場との人的・資本的ネットワークの形成の必要性は強化されざるを得ない。
この場合、県内事情を配慮しない外部人材や資本を県内に導入するのであれば、生活文化の面での摩擦を生じ、産業分野の現場に混乱と困惑を持ちかねない。
沖縄の場合、社会資本に比べ、民間資本ストックが相対的に不足しており、県内調達だけでは大規模プロジェクトの実施は不十分である。県内資本が外部資本をコントロールできる立場であるならば、上記のようなことは起こらないだろうが、この場合、外部資本の持つ人的、技術的ネットワークにベクトルが働いて、その方向にイニシアチブはとられやすい。
その意味で、ネットワークの構築には、自立経済を志向し、国際標準を確保した人々が「なぜ沖縄に関わるか」という帰属性（アイデンティティー）の統一が必要である。
この帰属性は、沖縄の歴史と文化に裏打ちされた沖縄の人々の一体感ではあるが、沖縄県内の価値観が優先される性格のものではない。ローカリズムとは地域の価値観の絶対化であるといえばそれまでだが、南北四百�銑叩�東西一千�銑辰粒ね涼楼茲嚢柔�する沖縄県の地域性は多様であり、特定の地域を価値の中心にすえることはできない。
自立経済を志向し沖縄の国際標準を考えるのであれば、むしろ、世界の中で、沖縄の自然、文化、歴史、風土、生活という普遍的な価値観を認識し、それを踏まえた産業的展開に共同して取り組む「心」の帰属性が重視されるべきである。
そのような意味において、移民者のネットワークには母県に対する「本能的」なこだわりがあり、その産業、経済、文化に貢献する役割を認識している。ハワイ、北米、ブラジル等を中心に発展している海外沖縄三十六万人の移民ネットワークは、沖縄の国際的な役割を引き上げるコーディネーターとして、重要な要素になりつつあるのである。
４、活躍するウチナーンチュ
残念ながら、海外に進出する移民ネットワークが、システム的に沖縄経済振興のエンジンとして機能している現実はない。世界のウチナーンチュ大会やその後に生まれたビジネスネットワークであるＷＵＢは、現在の段階では人的交流が主眼であり、沖縄経済の成長の原動力＝エンジンについての、「人材」「創業」「ネットワークの経済」の３つの要素を重視して活動しているものではない。
しかし、ウチナーンチュと呼ばれる人々の中でも、土地に溶け込み、人々とのビジネスネットワークをうまく作り上げ、地域社会と居住する国に貢献し、大きな影響力を持つに至った人々は散在する。次に取り上げる三人は、昨年ブラジル、東京の取材を通じて知り得た人々で、グローバルな立場から活躍している沖縄県系として、きわめて特徴的である。
（沖縄協会流動研究センター主任研究員）
| |
|
|
|