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日 付 2001/02/25  朝・夕刊 朝刊  政治・行政  3  1版 
見出し 日曜評論/広がるビジネス網/ロバート・仲宗根(WUBインターナショナル会長) 
本 文
日曜評論/広がるビジネス網/ロバート・仲宗根(WUBインターナショナル会長)


 沖縄県に在住する百三十万人を含めると、二百十万人のウチナーンチュが世界中にいる。そのうち海外に約三十万人、日本本土に約五十万人が定住している。
 沖縄から海外移民が始まって百年が過ぎたが、ビジネスの世界では、ウチナーンチュ同士のネットワークは確立されていなかった。
 ハワイのウチナーンチュは他の移民グループに比べて結束力が強い。この結束力をビジネス面にも生かそうではないか、ということで、一九九三年に沖縄企業訪問を企画して実現した。この時の参加者がハワイ・ウチナーンチュ・ビジネス・グループ(HUB)として組織された。
 九五年、世界ウチナーンチュ大会の実行委員会からHUBに、ハワイ物産展の開催依頼が来た。この依頼にこたえて、ハワイ観光局、商業経済開発部、ポリネシアン文化センター、コンチネンタル航空、シーランドその他の協力により三十以上の企業関係者、それにミス・ハワイ、ハワイ州知事らを含めて五百人もの人が沖縄を訪れた。
 大会の「経済フォーラム」で「国際ビジネスと経済交流及びネットワーキング」をテーマとして、それぞれの地域について報告されたが、私は、国際ビジネスを中心とした仕事に携わってきた関係上、華僑やユダヤ系移民が地域に与えた影響力の例を挙げ、世界中のウチナーンチュも同じようなことができるのではないかと提案した。
 大会フォーラムの議長は、稲嶺恵一氏(現知事・WUBインターナショナル名誉会長)であった。この議論を聞きながら、われわれHUBが中心となり、沖縄のビジネス界を華僑のように世界中のネットワークで結ぶいい機会だと思った。
 九六年、HUBはペルーの移民九十周年記念祭出席のおり、ブラジル、アルゼンチンを訪問し、現地のウチナーンチュの成功を見て、ネットワーク構築の可能性を確信した。
 ハワイ東西センターも設立に協力してくれ、九七年には、琉球銀行からの寄付、また、琉球新報によるホームページ開設など、機関・企業の協力により、第一回ワールド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション(WUB)インターナショナル大会が実現したのである。
 ハワイの東西センターで開催されたこの第一回WUB大会には沖縄、アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、東京、福岡、フィリピン、ロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、アトランタ、ニューヨーク、そしてハワイからビジネスに携わるウチナーンチュが多数出席し、国際的ビジネス・ネットワークの必要性が討議された。
 HUBはWUBに生まれ変わった。
 WUBの第四回大会は昨年、サミット開催一カ月前の六月に沖縄で開催された。基調講演は前ハワイ州知事で、東西センターの所長も務めたジョージ・有吉氏による「ハワイと沖縄の関係」だった。
 沖縄大会の時点でWUBは十二の支部だったが、新たに香港、関西、グアム、そして中国の四支部が加わった。ウチナーンチュのビジネス網が少しずつ広がっていることを示している。
 世界中に散らばる中国人やユダヤ人社会ではこのようなネットワークは昔からできていた。
 海外のウチナーンチュでビジネスを目的に沖縄を訪れる人は少ないと思うが、WUBは会議の期間中ビジネス展を開催し、世界各国のウチーナンチュ・ビジネス関係者の意見交換の場としている。
 WUB結成から三年半ほど過ぎた。ITの発達により、コミュニケーションが容易になり、WUBの発展にも大いに役立っている。
 ビジネスチャンスはより身近になった。WUBの会員全員に共通しているのは「イチャリバチョーデーの精神」である。



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