琉球新報 記事詳細

日 付 2001/04/14  朝・夕刊 朝刊  特集  16  1版 
見出し 第3回世界のウチナーンチュ大会まで200日/稲嶺恵一知事に聞く/すそ野の広がりを期待/ビジネス交流の強化も 
本 文
第3回世界のウチナーンチュ大会まで200日/稲嶺恵一知事に聞く/すそ野の広がりを期待/ビジネス交流の強化も


 ―第三回世界のウチナーンチュ大会の方針は。
 「できるだけ世界の県人の意向や要望を聞き、大会に反映させたい。担当部局が、各国県人会、ウチナー民間大使に連絡しているところだ。南米の県人などは参加型の大会に関心が強い。今回はイベントを見るということではなく、参加型のスタイルを積極的に折り込んでいく」
 「沖縄の基本的なアイデンティティーを継承するための大会をどう続けていくか、主体的に考えたい。同時に、筆舌に尽くせぬ一世たちのご苦労や、戦後の荒廃した沖縄に対する県人らのご支援にも配慮したい」
 ―沖縄と県人社会との連携をどう考えるか。
 「従来のウチナー民間大使、県人会との連携をさらに強化したい。一方、別の意味で郷友会レベルのネットワークが、ウチナーンチュ大会を通じてすそ野の広がりを見せている。市町村と各国の郷友会の連携が芽を出している。三、四世の時代になっても、結びつきは強化されている」
 ―県人会では三世、四世へのアイデンティティーの継承が課題だ。
 「私たちは、今大会に若い人たちを呼びたいと考えている。若い人たちに意識を持ってもらうことがアイデンティティーの継承には必要だ。沖縄の文化や伝統芸能にじかに接し、実際に演じてもらう。それによって意識をより強固なものとし、沖縄のアイデンティティーを現地で継承していく方向へ持っていきたい」
 「華僑の非常に強いつながりはビジネスがあるから。WUB(ワールド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)が発足した時、゛琉僑゛という言葉を使ったが、ビジネスがないとネットワークの永続的発展は難しい。しかし、いきなり何百年の歴史を持つ華僑のようにはいかない。その前提として、私たちは若い人たちの交流を活発化していきたい」
 ―県人ネットワークにおけるビジネスの可能性とは。
 「従来なかったものを新たに構築するのは難しい問題だ。いくつか成功することで波及効果が広がると思う。情報ネットワークをどう構築するかが大変重要な問題であり、県としてもお手伝いしたい。WUBの発足によって、南米の隣国同士のつながりが出てきた。沖縄からの発信という形でなくても、このような動きがあれば、最終的には全体的なビジネスネットワークとなる」
 ―県人のビジネスネットワークに果たすITの役割は何か。
 「今、沖縄はITが集積されつつあるが、今はすそ野が固まったという段階だ。沖縄サミットを機にハード面の集積が進んだ。将来は県人のビジネスネットワークの展開にもつなげていきたい」
 ―大会二百日前にあたってのメッセージを。
 「サミット開催のためウチナーンチュ大会が一年延びた分、世界のウチナーンチュの夢や希望が膨らんだ。私たちの島で、世界の首脳が集まりサミットが開催されたことに、皆が自信と誇りを持った。県民の意識改革にも大きな役割を果たしたと思う。その意味で、世界に自信を持てるウチナーンチュが一堂に会して、お互いのアイデンティティーを確認し合う大会として成功させたい。ウチナーンチュ同士の連携をさらに密にして、大きく羽ばたくためのステップにしたいと考えている」


備 考  
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