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日 付 2001/04/15  朝・夕刊 朝刊  その他  5  1版 
見出し 社説/大会まで200日/大きな財産「世界の沖縄人」 
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社説/大会まで200日/大きな財産「世界の沖縄人」


 「未来―ちゅら夢 心にのせて」をテーマに、十一月一日から開催される第三回「世界のウチナーンチュ大会」まで、きょう十五日で、ちょうど二百日となった。宜野湾市の沖縄コンベンションセンターを主会場にして四日間、多彩なイベントが予定される。とりわけ今回は、海外からの参加者が、見るイベントでなく、参加するイベントを工夫しているという。
 われわれウチナーンチュは、世界に広がる県系のネットワークを、大きな財産だと考える。海を渡ったウチナーンチュの一人ひとりが、故郷を遠く離れた地で、多くの苦労を重ねながら、信用をはじめ数々の実績を、現地で築き上げた。
 沖縄にいるわれわれは、まずこのことが大きな誇りだ。さらにもう一つ、海外で活躍するウチナーンチュが、郷里を忘れず、常に郷里への思いを持ち続けていることも誇りだ。
 海外雄飛にロマンを求めた先人たちもいる。ソテツ地獄の時代に、新天地に、人生の再出発の地を求めた人たちがいる。そして今、ビジネスの舞台を、海外の市場に移し、実力を思い切り発揮している人たちがいる。また、二世、三世、四世と血をつなぎ続けているウチナーンチュたちも、われわれの大事な仲間だ。
 こうしたウチナーンチュを、海外に三十万人も抱えていることは、本県にとり大きな財産だ。
 十数年前、琉球新報はこうした海外の大きな財産を掘り起こすため、長期連載を始めた。情報の少ない中、それこそ手探りで、海外に暮らすウチナーンチュを取材した。それが「世界のウチナーンチュ」だ。
 この連載がきっかけで、一九九〇年に初めてのウチナーンチュ大会が開催された。この意義は大きい。ウチナーンチュのネットワークが築かれたからだ。このネットワークは多くの可能性を秘めている。強い゛愛郷心゛は、華僑という強力なネットワークを築いた中国人のそれに、劣らぬものと考える。
 現に、一九九七年にはビジネスの国際ネットワークを目指してWUB(ワールド・ウチナーンチュ・ビジネス・アソシエーション)も発足した。ウチナーンチュの人脈に、大きな可能性を信じているからだ。
 われわれはこうした海外の県人たちとの絆(きずな)を、沖縄の発展につないでいきたい。と同時に、多くの苦労を重ねてきた彼らに、われわれの側からも可能な限りの支援をしていくべきだ。
 大きな実が海外でなるまでに、母県からできる支援は、大小数多くあると思う。肥料となる母県の知恵もほしい。県民みんなで考えたい。そしてまた、沖縄に集うウチナーンチュに、どのようなもてなしができるかも、一人ひとりで考えたい。


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