琉球新報 記事詳細

日 付 2002/05/30  朝・夕刊 朝刊  特集  17  1版 
見出し 沖縄振興計画県案(要旨)(その2) 
本 文
沖縄振興計画県案(要旨)(その2)


4環境共生型社会と高度情報通信社会の形成

 沖縄の島しょ性を踏まえ、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷が低減される持続可能な循環型社会を実現するため、先導的な取り組みを推進し、地域の特性に応じ、豊かな自然環境、地域環境の保全・創造を図る。

 (1) 循環型社会の構築
 廃棄物の減量化、リサイクル及び環境美化を促進し、処理困難物の適正処理や廃棄物の資源化対策を推進する。一般廃棄物の広域的な処理体制及び公共関与による産業廃棄物等の処理施設整備を促進するとともに、使用済み自動車など廃棄物の不法投棄防止体制を強化し、その防止を図る。ゼロエミッション・アイランド沖縄構想に基づき、豊富な自然資源を生かした自然エネルギーの活用、バイオマテリアル製造事業の導入、廃ビン等の循環資源を活用した企業化の促進、環境関連技術に関する研究開発の推進を図る。

 (2) 自然環境の保全・活用
 自然保護施策の総合的推進、環境保全、公害の未然防止に取り組むとともに、環境教育等を推進する。島しょ生態系にかなった土地利用を進めながら、森林を適切に保全管理し、新たな国立公園の指定を検討するとともに、自然環境保全地域、自然公園及び鳥獣保護区の適正な配置・管理及び活用を図る。また、希少な野生生物の保護管理など生物多様性の確保に努めるとともに、移入種対策を強化する。

 (3) 生活環境基盤の整備
 上水道、下水道、公園・緑地、住宅等の生活環境基盤を整備し、快適で潤いのある豊かな生活環境や環境に優しい生活空間の創出を図る。

 (4) 都市・農山漁村の総合的整備
 都市の機能強化とともに、豊かな環境に恵まれ県民の憩いの場ともなる農山漁村の振興を図り、活力ある地域を形成する。都市・農山漁村の連携と機能分担を図るとともに、都市の整備においては、民間のノウハウや資金等を活用しつつ、地域の特性に応じた整備に努める。

 (5) 高度情報通信ネットワーク社会の実現
 高速・大容量・低コストを実現する情報通信基盤の整備やそれらを利用しやすい環境の整備を進め、県民生活の利便性の向上、産業の振興、行政事務の効率化等を図るとともに、情報格差の解消に努める。光ファイバー網やCATV網等をはじめ有線回線、衛星回線及び地上無線回線等の多様な情報通信基盤の整備を促進する。行政事務の効率化及び住民サービスの向上を図るため、電子文書・電子決裁、電子投票の導入、調達、入札、申請・届け出等のオンライン化等、県及び市町村の電子自治体構築、運営等を支援する。

 (6) 災害に強い県土づくり
 島しょ性や県土の厳しい地形・気象条件のもと台風や集中豪雨、地震、津波等による自然災害から県民の生命と財産を守り、安全で快適な住みよい生活環境を確保する。浸水対策として河川改修及び下水道整備を連携して推進する。特に浸水被害が頻発している都市部における河川改修などを重点的に推進する。

5健康福祉者の実現と安全・安心な生活の確保

 いきいきと自分らしい生活が送れる社会の実現を目指し、県民の福祉ニーズに適切に対応し健康長寿の確立に向けて取り組む。

 (1) 健やかで安心できる暮らしの確保
 少子高齢社会において、子どもや高齢者、障害をもつ人が健やかでいきいきと暮らせる環境づくりを進める。地域において育児に関する相互援助活動を行うファミリー・サポート・センターの設置を促進する。要介護高齢者が必要なサービスを適切に利用できるよう、安心・快適な在宅サービスの確保と老人福祉施設等の整備を進めるとともに、介護支援専門員等の人材の養成に努める。障害のある人が、その持てる能力と個性を発揮しながら、社会の一員として快適に生活していくための条件整備として在宅福祉サービスや障害児(者)の歯科医療の充実を図るとともに、相談支援体制の整備を促進する。また、障害児(者)を地域で支援するグループホーム、小規模作業所の法人化等を促進するとともに、社会復帰施設の拡充を図る。

 (2) 保健医療の充実
 保健衛生の推進を図り、個人の努力と社会の支援による健康づくりや保健医療体制の整備を促進する。県民が健康長寿を維持し、実り豊かで満足できる人生を送れるよう、健康づくりへの支援、疾病予防、難病対策等を進めるとともに、保健衛生の向上に努める。

 (3) ともに支え合う社会の構築
 男女が互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現を目指す。バリアフリー化を推進し、保健、医療、福祉サービスの一体的提供に努めボランティア団体、NPO等の活動促進、幅広い分野で社会参加活動を促進する。

 (4) 安全・安心な生活の確保
 安全・安心な生活を維持、拡充するため、交通安全対策、地域安全対策、防災・消防活動、消費者相談等の推進、充実を図る。総合的な交通安全教育施設や信号機等の交通安全施設を整備するとともに、高度道路交通システム(ITS)、バリアフリー歩行空間ネットワークや交差点の改良等安全で快適な交通環境の整備等を推進する。また、交通事故被害者支援体制の強化等に取り組む。犯罪のハイテク化、国際化等に対応した人材を育成するとともに、警察施設及び装備資機材等、警察基盤の整備充実を図る。消防行政の広域化、高規格救急車等の導入を促進する。戦後処理の一環としての不発弾処理対策を推進する。マルチ商法等問題商法による被害や多重債務から派生する諸問題を未然に防止するため、消費者教育・啓発を推進するとともに、消費者相談、苦情処理体制の充実強化等を図る。

6多様な人材の育成と文化の振興

 (1) 初等中等教育の充実
 生涯にわたる学習の基礎を培い、社会の各分野で活躍する創造的な人材を育成するためには、その基礎・基盤となる初等中等教育の役割が極めて重要であり、国際化、情報化、科学技術の高度化、環境問題など、社会の変化に対応した教育を推進する。すべての生徒がコンピューターやインターネットの基本的な利活用等が可能となる情報活用能力を育成するとともにIT教育センターを総合教育情報ネットワークの拠点として整備、活用し、国際性豊かな広い視野を持った多様な人材を育成する。学校教育における私立学校の役割も踏まえ個性あふれる人材育成を促進する。

 (2) 高等教育の推進
 多様な社会的、時代的要請に的確に対応できる専門分野の人材育成を目指して、高等教育機関の整備充実に努め、教育・研究活動の積極的な展開を通じて、人材育成機能の充実強化を図る。併せて、県内における大学進学機会の拡大に努める。沖縄工業高等専門学校を設置し、琉球大学においては、教育研究施設・設備の整備充実と併せて、理工系人材や法分野等の高度専門職業人の育成等時代のニーズに対応した学部、学科、大学院の教育研究体制の一層の充実を図る。県立芸術大学は、沖縄の豊かな芸術文化の伝統を受け継ぎ、新しい創造的芸術文化の形成及び発展を担う人材を育成するとともに、デザイン工学分野等の学部設置を進める。県立看護大学には、大学院等の設置を進める。私立大学は、個性あふれる人材の育成を目指した独自の学校運営をと施設・設備の整備及び教育研究体制の充実を期待する。

 (3) 産業や地域社会を担う人づくり
 質の高いサービスを提供できる観光人材の育成や起業家意識の高揚を図り、高度な経営と技術に対応できる人材の育成・確保に努める。情報通信関連産業分野では、産学官が連携し、高度な専門知識と技術を身につけた多様な人材を早期かつ大量に育成するとともに、国内外から優秀な人材を招致する。

 (4) 潤いと生きがいのある生涯学習社会の形成
 いつでもどこでも学ぶことができるよう生涯学習の推進体制を整備するとともに、学習機会の提供や学習相談体制等の整備を図る。生涯学習推進センターを整備し、多様な学習機会や情報提供に努めるとともに、リカレント教育や学校開放講座等を推進する。図書館、公民館等の社会教育施設の整備や指導者の養成など社会教育基盤を整備充実するとともに、市町村における家庭教育支援のネットワークを強化し、地域や家庭における教育活動の活性化を図る。

 (5) スポーツの振興と青少年の健全育成
 いつでも、どこでもスポーツに親しむことができ、心身ともに健康でいきいきとした生活を送ることができるような生涯スポーツ社会の実現を図る。また、競技スポーツの振興を図る。

 (6) 豊かな感性をはぐくむ文化の振興
 余暇時間の増大や、県民の文化への志向に対応するため、文化の振興、文化財の保護活用等の施策の充実を図る。県芸術祭の充実や伝統芸能の継承、発展など県民文化の振興や、郷土芸能に関する文化施設の整備充実を図るとともに、多様な音楽等沖縄文化の世界への発信に取り組む。県立博物館新館及び県立美術館の整備を図る。世界遺産の「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は観光資源としての活用に向けた周辺環境の整備充実を図る。

7持続的発展を支える基盤づくり

 国際性や拠点性を高め、新たな活力を生み出し、地域の魅力を支える交通体系を確立し、航空、海上交通、陸上交通相互間の有機的連携の強化を図る。情報格差の解消、住民生活の利便性の向上、産業の振興、行政事務の効率化等を支える情報通信基盤の整備を促進するとともに、県民生活に不可欠な水資源やエネルギーの安定確保を図る。

 (1) 交通体系の整備
 北部地域の観光・リゾート産業や農林水産業、製造業、情報通信関連産業、金融業務の集積など産業の振興に資する軍民共用空港を念頭に置いた普天間飛行場代替施設(北部新空港)及び民間航空関連施設の整備を図る。那覇港は、国際流通港湾としての機能の充実強化や臨港道路(空港線、浦添線)等、幹線臨港道路の整備を推進し国際クルーズ等に対応した旅客船バース、大水深バースを有する国際海上コンテナターミナルやコースタルリゾート施設等の整備を図る。陸上交通は、体系的な道路網の整備を計画的に推進するとともに、公共交通の利用拡大を図るなど、交通円滑化のための総合的な取組を強化する。沖縄都市モノレールの整備を推進するとともに、沖縄都市モノレールとバスの有機的な連携に加え、他の交通機関との結節機能の充実を図るため、駅周辺にタクシー乗り場、自家用車乗降場、駐輪場等を備えた交通広場を整備する。併せ、パークアンドライドシステムの構築を推進する。

 (2) 情報通信基盤の整備
 光ファイバー網やCATV網等の情報通信基盤の整備をはじめ、有線回線、衛星回線、地上無線回線等をシームレスに接続した高速・大容量・低コストを実現する多様な情報通信基盤の整備を促進する。

 (3) 安定した水資源とエネルギーの確保
 大保ダム等多目的ダムや農業用ダムの建設等を推進するとともに、西系列水源開発事業等を促進する。雨水等未利用水、下水処理水などの有効利用を推進するとともに、県民の水有効利用や節水意識の醸成を図り、節水型社会の形成を推進する。LNG火力発電所の建設等環境対策の支援、海底ケーブルの敷設等離島における効率的な電力供給の確保、安定的な石油供給の確保、新エネルギーの導入等を促進するとともに、自然エネルギー供給モデル地区の形成を図る。

8離島・過疎地域の活性化による地域づくり

 各地域の持つ多様性や魅力を最大限に発揮した地域づくりを進め、雇用機会の拡大に向け、農林水産業や観光・リゾート産業をはじめとする産業の活性化を図る。交通基盤や情報通信基盤の整備、保健医療の確保、福祉の向上、教育・文化の振興などを図り、豊かな自然環境を生かした快適で潤いのある生活空間を創造し、地域間格差の是正や若者の定住促進及び交流人口の増加を図る。

 (1) 産業の振興
 地域の基幹産業である農林水産業は、サトウキビ等土地利用型作物、畜産等の生産体制の強化、サトウキビの総合利用など地域資源を活用した製品開発を促進し、農林水産物の付加価値を高め、後継者の育成・確保に努める。製糖企業については、経営の合理化を促進し、特に、含みつ糖については、新商品の開発等による経営体質強化の取組を促進する。農業用水源、かんがい施設、ほ場、防風施設、漁港・漁場等の整備を進めるとともに、森林が持つ多面的機能の維持・増進に努める。観光・リゾート産業は、自然景観や伝統文化など地域資源を生かし、エコツーリズム、グリーンツーリズム、森林ツーリズム、ブルーツーリズムの体験・滞在型観光、健康・保養をテーマとした観光等を推進する。体験・滞在型観光を支える施設整備や体験プログラムの作成、ガイドやインストラクター等の育成など、受け入れ態勢の整備を促進するとともに、宿泊施設の整備を促進する。観光ルートの整備を図り、各種イベントの創出など地域内外との交流活動やピーク時における輸送力の強化を促進する。地域特産品等の販路拡大を図るため、インターネット等の活用を促進する。

 (2) 交通、情報通信基盤の整備
 人、物、情報等の交流を活発化するため、空港、港湾、道路等及び情報通信基盤の整備を図るとともに、航空路線網や海上航路網の維持・確保に努める。新石垣空港、与那国空港等離島空港の整備を図るとともに、離島航空路線網の維持・確保に努める。海上交通は、安全性・安定性を高める防波堤等の整備に加え、施設のバリアフリー化や、旅客待合所を整備する等地域の特性に応じた港湾の整備、海洋レクリエーションやクルーズ等に対応した港湾の整備を図るとともに、離島航路網の維持・確保に努める。那覇港、石垣港等のふ頭地区の再編を促進することにより、離島航路利用者の利便性の向上を図る。道路については、離島架橋の整備、空港、港湾等の交流拠点との連結を強化する道路の整備、生活に密着した市町村道等の整備を図る。情報通信基盤について、光ファイバ網やCATV網等の情報通信基盤の整備を促進するとともに、沖縄県総合行政情報通信ネットワークの整備拡充を進める。

 (3) 生活環境基盤の整備
 水の安定供給を図るため、多目的ダムの建設を推進するとともに、海水淡水化施設や海底送水管の整備等を進める。高度処理施設等水道施設の整備を進めるとともに、水道事業体の広域化を促進する。下水道、集落排水施設の整備を図り合併処理浄化槽の普及を促進する。廃棄物対策では、廃棄物の減量化、リサイクルを促進するとともに、使用済み自動車等の不法投棄防止対策の強化、廃棄物の輸送コスト低減に向けた取組及び処理施設の整備を促進する。エネルギーについては、新エネルギーの導入、自然エネルギーのモデル地区の形成、電力海底ケーブルの敷設などを促進する。

 (4) 保健医療の確保と福祉の向上
 へき地医療支援機構及び沖縄県離島医療組合の設置・拡充を図るとともに、離島・へき地遠隔医療支援情報システムの充実、救急患者搬送等救急医療体制の充実強化を図る。無医地区や無歯科医地区については、巡回診療を実施するとともに、その解消に努める。介護サービスの充実及び在宅介護支援センターの整備など高齢者保健福祉の向上を図るとともに、へき地保育所及び児童館の整備による子育て支援及び小規模複合施設の整備等による障害児(者)の支援を促進する。

 (5) 教育及び地域文化の振興
 近隣学校間での集合学習、都市地区との交流学習等を積極的に推進し、老朽校舎の改築、給食調理場等教育施設の整備、既設施設の共同利用、国際化や情報化等に対応した施設設備の整備を図る。地域住民に身近なスポーツ施設の整備を促進する。伝統文化を保存・継承するとともに、地域文化活動の推進、伝承者養成、芸術鑑賞の機会の創出等による文化の振興に努める。

 (6) 自然環境及び県土の保全
 森林を適切に保全管理し、新たな国立公園の指定を検討し、自然環境保全地域、自然公園及び鳥獣保護区の適正な配置・管理及び活用を図る。生物多様性の確保に努め、国際サンゴ礁研究モニタリングセンターや野生生物保護センター等の活用を図る。赤土等流出防止対策を推進する。自然景観や環境等に配慮した治山治水対策及び海岸等の整備を推進するとともに、森林の多様な整備等を図る。

9駐留軍用跡地の利用の促進

 駐留軍用地跡地は、良好な生活環境の確保、産業の振興、健全な都市形成、交通体系の整備、自然環境の保全・再生など、沖縄振興のための貴重な空間として、県土構造の再編を視野に入れた総合的かつ効率的な有効利用を図る。県土の均衡ある発展を目指し、それぞれの地域特性を踏まえた跡地利用を促進する。

 (1) 調整機関の設置
 駐留軍用地跡地利用の具体的な枠組みとして、調整機関「跡地対策協議会」(仮称)を新たに設置し、駐留軍用地跡地利用の推進体制を整備・強化する。同協議会は、沖縄担当大臣、沖縄県知事及び跡地関係市町村長の代表で構成し、個々の跡地の課題に応じて、跡地利用計画の策定・具体化の促進に向けた国、県及び跡地関係市町村間の所要の協議、調整を行い、駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用を促進する。県及び跡地関係市町村で構成する「跡地関係市町村連絡・調整会議」(仮称)を新たに設置し、跡地利用の促進に関し県と跡地関係市町村との連携を図るとともに、協議会へ跡地関係市町村の意見の反映に関し連絡調整を図る。

 (2) 駐留軍用地跡地の利用の促進に関する取り組み
 SACO最終報告等で示された返還が予定されている駐留軍用地の跡地利用を迅速かつ円滑に進めるため、早期の跡地利用計画の策定、速やかな計画関連手続きの着手、返還後の速やかな事業着手、迅速な原状回復措置、公共公益施設の整備のための用地取得などに取り組む。駐留軍の使用に起因する土壌等の汚染の除去や建物等の撤去などの原状回復措置を返還後迅速に実施するため、国は、日米合同委員会の返還合意後の早い段階から取り組みを進める。普天間飛行場の跡地利用については、大規模性や地理的位置などから、沖縄全体の振興に影響が及ぶものと考えられることから、国、県、宜野湾市が連携して、跡地利用の基本方針及び跡地利用計画の策定に向けて取り組む。また、跡地利用計画を踏まえ、再開発を迅速かつ的確に推進するため、事業実施主体、事業手法、機能導入等についてのより具体的な措置について、検討を進める。

第4章 圏域別振興の方向

1北部圏域

 普天間飛行場移設先及び周辺地域は、北部新空港を活用した空港活用型産業の誘致・育成を図り、情報通信関連産業、金融業及び金融関連業務等の集積や既存産業の活性化を図り、空港へのアクセス道路や複合機能型産業団地等、企業立地に向けた基盤を整備する。情報通信基盤をはじめ居住環境を含めた環境を整備し金融センターにふさわしいまちづくりを進める。返還予定施設の北部訓練場や安波訓練場跡地は、資源を生かした活用を図り、ギンバル訓練場は、自然・地域特性を生かし整備する。
 国頭三村は、豊かな自然や伝統文化等の地域資源を生かしたエコツーリズム、グリーンツーリズム、健康長寿をテーマとした体験・滞在型観光、農林水産業や地場産品の開発等を中心に振興を図る。広大な森林地域は、国立公園化を検討する。本部半島から名護市、宜野座村にかけては、周遊型観光や農林水産業の振興を図り、離島地域とのアクセス機能充実に努める。名護市は、行政、経済、情報通信、交通結節等高次の都市機能整備を進める。名護市から恩納村の西海岸地域にかけては、国際的な観光・リゾート拠点としての一層の基盤整備を進める。部瀬名岬を中心とする地域は、国際コンベンション拠点としての魅力のPRに努める。
 名護市から宜野座村、金武町の東海岸は、体験・滞在型観光の振興、西海岸地域との効果的な連携を図る。離島三村は、地理的な不利性を克服する観点から、交通アクセスの改善や医療、福祉、教育等に係る生活環境を整備し、離島特有の自然環境や文化を生かした体験・滞在型観光や農林水産業を中心に振興を図る。
 キク、マンゴー等の拠点産地を形成し、ブランド化を図る。サトウキビは、農業生産法人の育成等を図る。薬用作物、シークヮーサー、黒糖等特産品の高付加価値化を図るため、集出荷施設及び農産加工施設の整備を促進する。県産材の需要喚起を図り、森林ツーリズム等で多面的活用を図る。
 名護市や宜野座村などで今後も情報通信産業振興地域制度等の積極的な活用や通信コストの低減化支援などにより企業立地を促進し、情報通信関連産業や金融業務の集積を図る。名護市マルチメディア館等の最先端の機能を備えた施設の立地を生かした新たなコンテンツ産業等の集積を促進する。

2中部圏域

 与勝半島から具志川市、石川市など、金武湾に面した東海岸地域では、研究開発、交流体験等を含め、健康長寿をテーマとした地域の振興を図る。具志川市から沖縄市にかけての東海岸地域は、中核的都市として、広域商業、文化、交通結節等の高次都市機能の整備を進める。中城湾港新港地区は、特別自由貿易地域を中心に加工交易型産業等の集積を図り工業技術センター、トロピカルテクノセンター及び健康バイオ研究開発拠点施設等を中心に、産学官の有機的な連携の下、健康関連産業、食品・飲料関連産業、バイオ関連産業等の産業分野における企業化や新規事業の創出を促進する。
 中城湾港泡瀬地区は、東部海浜開発を促進し海洋性レクリエーション機能を導入することにより、海に開かれた国際交流リゾート拠点等を形成する。
 嘉手納町マルチメディアセンター、美浜メディア・ステーション等の情報通信関連産業支援施設を中心に、企業立地を促進する。
 宜野湾市から読谷村にかけての西海岸地域は、コンベンション支援機能及び都市型リゾート施設等の整備を促進し、観光・リゾート産業の振興を図り、沖縄西海岸道路等の整備で交通アクセスの利便性を高める。沖縄型特定免税店の空港外展開とあわせて、国際ショッピングモール構想の推進を図る。
 北中城村から中城村、西原町に至る地域は、歴史・文化体験や県民行楽の場として整備し、良好な居住環境を充実強化する。西原町等は、琉球大学等高等教育機関周辺の整備を促進し、学園都市機能の充実強化を図る。
 キク、甘しょ等は、拠点産地を形成し、さとうきび、養豚等の生産体制の強化や畜産環境対策を推進する。漁港・漁場等の生産基盤の整備、モズク等養殖業の生産流通体制の強化を図る。
 普天間飛行場の跡地利用は、中南部都市圏における位置付けや、周辺市街地整備などに留意し、沖縄の振興をリードする高次都市機能の導入や基幹道路の整備等、総合的かつ計画的に進める。キャンプ桑江、キャンプ瑞慶覧等の駐留軍用地跡地は、良好な住宅地や生活関連施設、行政サービス施設等の整備、地域商業の活性化を図り、職住近接のまちづくりを進める。読谷補助飛行場、楚辺通信所及び瀬名波通信施設の駐留軍用地跡地は、総合的整備で、個性豊かな田園空間の形成を図る。
 中城湾港新港地区において、流通加工港湾整備を推進する。中城湾港マリンタウンプロジェクト(西原・与那原地区)や、宜野湾港の公共マリーナの整備を推進する。沖縄市、具志川市、嘉手納町等は、中心市街地の再開発や土地区画整理を促進し、都市機能を強化する。

3南部圏域

 浦添市から那覇市に至る西海岸は、空港、港湾等の整備により国際物流拠点の形成を図り後背地と一体となった都市整備を進める。那覇港湾施設の移設が予定される浦添市は、港湾の展開整備と一体となった地域振興を図る。豊見城市から糸満市にかけては、臨空港型産業や製造業、情報通信関連産業等の誘致・集積を図り、園芸農作物の拠点産地の形成や水産業の振興を図る。与那原町から知念半島に至る東海岸地域は、農林水産業の振興を図り、健康・保養や歴史散策等を中心とした観光を推進する。南風原町、東風平町、大里村、具志頭村などの都市近郊地域は、都市近郊型農業等を振興し、良好な住宅市街地の整備を進める。離島は、健康・保養や歴史・文化等をテーマとした体験・滞在型観光を推進し、農林水産業の拠点産地化を促進する。
 那覇市を中心とする都市地域は、沖縄都市モノレール駅周辺の再開発や既成市街地の再編・再整備、那覇新都心地区への情報通信関連産業等の集積を図る。那覇港湾施設の駐留軍用地跡地は、国際交流拠点にふさわしい交流空間の形成を目指す。
 西海岸地域は、空港、港湾等の施設と連携したショッピング施設や海洋レクリエーション施設等を整備し、コースタルリゾート形成を図る。東海岸は、海洋性レクリエーション基地の形成を図る。健康・保養をテーマとした観光振興を図る。国営沖縄記念公園首里城地区及び県営首里城公園の整備充実を図り、識名園、玉陵等の琉球王国のグスク関連遺産群とその周辺地域の整備を促進する。沖縄戦跡国定公園を中心とした平和学習拠点の整備を図り、ラムサール条約に登録された漫湖は都市の環境教育や自然観察の拠点地域の整備を図る。
 南部地域は、情報通信関連産業の集積を図る。浦添市から糸満市に至る西海岸地域は、倉庫・運輸及び空港支援サービス等、空港・港湾活用型産業の集積に努める。豊見城市地先埋め立て地への臨空港型産業等の導入を促進するとともに、糸満工業団地等への県内製造業の移転再配置等を促進する。那覇港湾背後地への港湾関連企業の導入等で物流機能の向上を図る。
 サヤインゲン、ゴーヤー、マンゴー・パパイア等は、拠点産地を形成する。水産物流拠点の糸満等で流通・加工機能の充実を図る。
 那覇空港は、沖合への空港施設の展開等を検討する。那覇港は大規模コンテナターミナル等の整備を推進し幹線道路や那覇空港と結ぶ臨港道路を整備する。大型クルーズ旅客船バースやマリーナ等国際交流拠点にふさわしい施設整備を推進する。那覇空港自動車道や、沖縄西海岸道路等の広域道路の整備を促進する。交通渋滞の緩和を図るため、沖縄自動車道と沖縄都市モノレールとの効果的結接など道路網を整備する。
 県立芸術大学でデザイン工学分野等の学部設置を進める。南部圏域は、県立高度・多機能病院(仮称)の整備を推進する。

4宮古圏域

 美しい自然環境を保全し地下水の水質を維持し快適な生活環境を創出するなど、資源循環型社会システムの構築に取り組む。情報通信基盤の整備では自然に囲まれた島の環境を生かしたSOHO導入を促進する。農林水産業の振興はもとより、各種スポーツイベントの開催やキャンプ地としての利用の実績を生かし、スポーツや健康・保養をテーマとした体験・滞在型観光を中心に観光・リゾート産業の振興を図る。
 地下ダム貯留水の水質保全に留意し、かんがい施設など生産基盤の整備を推進する。マンゴー等は拠点産地を形成し、サトウキビは、葉たばこ等との輪作体系の確立、農業生産法人、作業受託組織の育成強化、機械化一貫作業体系の導入を推進する。
 航空路線拡充を図り、国内外大型クルーズ客船の就航を促進する。平良港は、コースタルリゾートプロジェクト(トゥリバー地区)を推進する。下地島空港周辺は、観光資源の海洋景観の保全を図るとともに、スポーツレクリエーション施設等整備を促進する。
 平良港の地域の拠点港湾整備と併せた大型クルーズ客船に対応した施設整備を推進する。空港及び港湾等広域交通拠点へのアクセス道路や地域振興を支援する道路網の整備、地域を支える公共交通基盤の整備、地域ITSの導入を促進する。伊良部架橋の事業着手に取り組み、新多良間空港や高野川満線等の整備による離島とのアクセス改善で交通体系の整備を行う。

5八重山圏域

 我が国の最南西端に位置する地理的条件とイリオモテヤマネコなど貴重な野生動植物を含む豊かで多様性に富んだ自然環境、歴史的・文化的特性を生かした観光・リゾート産業の振興を図る。
 各種伝統行事や文化財等の保存・保護を図りつつ、観光資源としての利活用に努めるとともに、新たな観光資源の開発を進める。圏域外及び国外との交流ネットワークを形成し、島々の自然環境を保全しつつ、各種産業の振興による雇用創出や生活環境の改善等定住条件の整備を図る。
 本土との航空路線の拡充、海外との航空路線の開設、国内外の大型クルーズ客船の就航などを促進する。石垣港は、離島ターミナルの再編等、観光・リゾート拠点整備を促進する。周辺離島間海上航路網の拡充を図るとともに、共通乗車船券の活用で周遊ルートの多様化を図る。国際サンゴ礁研究モニタリングセンターとの連携を図る。与那国島は、海底観光資源等の特異な観光資源を十分に生かすため、観光・リゾート施設の整備を促進し台湾との交流を促進する。
 マンゴー等熱帯果樹やカボチャ等は、拠点産地を形成する。シャコ貝、ソデイカなどの水産物や熱帯果実を活用した新たな特産加工品の開発、八重山上布など伝統工芸産業の継承発展を図る。新石垣空港、与那国空港及び石垣港や広域交通拠点へのアクセス道路等、総合的な交通基盤を整備する。情報通信基盤の高度化及び拡充でSOHO導入を促進する。




備 考  
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