琉球新報 記事詳細

日 付 2002/10/25  朝・夕刊 朝刊  経済  9  1版 
見出し 広がる琉僑ビジネス網/WUB世界大会ボリビア報告/下/事業実績/信頼と工夫で着々/社員出向も視野に 
本 文
広がる琉僑ビジネス網/WUB世界大会ボリビア報告/下/事業実績/信頼と工夫で着々/社員出向も視野に


 発足六年目のWUB。だが「WUBは交流だけで、実際のビジネスに役立つには至っていない」との声も県経済界の一部で聞かれる。しかし、ビジネス面の実績も徐々に上がりつつある。
 名護市のブセナカントリークラブを経営する金秀リゾートは昨年、県系人経営のアルゼンチンやボリビア、ブラジルの各ゴルフ場と相次いで姉妹協約を結んだ。ゴルフ場の会員が提携先のゴルフ場を同じ待遇で利用できるというものだ。
 ブセナカントリーはバンガロー(あずまや)の設計もWUBハワイ会員で設計士のマイケル・ラインウェバー氏に依頼した。芝もWUBハワイ会員のモーリス山里氏を通じてハワイ産を導入した。「塩害に強く、冬場も黄色くならない」(関係者)からだ。
 こうした事例は、WUBの実績づくりのために費用対効果を度外視したものではないか。そう聞くと、金秀グループ会長でもある呉屋守将WUBインターナショナル会長は言下に否定した。「私も経営者だから、会社に損害を与えるようなことはできない。バンガローや芝の導入は、本場のリゾート思想の導入に役立ち、当社にとってもほかのゴルフ場との差別化ができた」と話す。
 実績はほかにもある。ハワイのケーブルテレビ会社ニッポン・ゴールデン・ネットワーク(NGN)は毎週土曜の夜、沖縄関連番組「オキナワ・プライム・タイム」を九月から放映している。
 ハワイでもNHKの「ちゅらさん」が放映され、好評だったのがきっかけ。相談を受けたWUBハワイが番組探しを手伝うことになり、WUB会員を中心に番組買い付け会社オキ・ビジョン・カンパニーを設立した。NGNは「ちゅらさん」の後、十月から沖縄テレビ(OTV)の「世界のウチナーンチュ」と琉球放送(RBC)の「オキナワン情報コンビニ」を放映している。
 水面下ではWUB東京の会員がWUB沖縄の会員企業から受注したり、WUB沖縄の企業がWUB東京の仕事を請け負ったりと、「国内同士」の取引事例も進んでいる。
 「材料はある。それを生かすかどうかは本人次第だ。会議に出て、(ほかの支部の会員と)話すうちに(連携した事業が)ひらめく」と話すのはWUB関係者の一人。WUB創設者のロバート仲宗根氏も「WUBに入ってすぐ商売ができる、というのは大間違いだ。一緒に集まり、あくまで個人的な信頼関係を築かなくてはいけない」と語る。
 世界大会に先立って十日に開かれたWUB代表者会議では、二〇〇三年の世界大会ハワイ開催を決定した。その後、関西や沖縄、アルゼンチンなどで順次開催する方向だ。
 着々と深まるWUBでの交流。ロバート仲宗根氏は「将来は会員企業同士で社員の出向も行うようにしたい」と語る。交流を事業に生かせるか、個々の創意工夫が問われる。(政経部・普久原均)



備 考  
ニュース源 自社  記事種   写真枚数 1