日 付
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2003/06/21 |
朝・夕刊
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朝刊 |
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その他 |
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5 |
版
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1版 |
見出し
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<論壇>深刻な学卒未就職者割合/雇用機会、県外へ拡大を/宮城敏郎 |
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本 文
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<論壇>深刻な学卒未就職者割合/雇用機会、県外へ拡大を/宮城敏郎
二〇〇三年四月の沖縄の雇用情勢をみると、失業者は四万五千人で完全失業率は7・8%、有効求人倍率0・35倍と依然厳しい状況にある。特徴的なのは十五歳、二十九歳の完全失業率が12・6%と高いことである。若年失業問題は全国的な傾向だが、とりわけ「定職に就かない」フリーターの問題は深刻である。また、全国と比べて沖縄の学卒未就職者の割合は高く、全国の5%に対して県は11・3%(〇一年)と約二倍以上を占めている。
主な理由は就職先が少ないこと、学生の公務員、教員志向が強く進路を決めかねて定職に就かないことなどさまざまだが、定職を持たない若者の増加は沖縄の経済競争力を弱めるだけでなく、沖縄の自立を妨げることにもなる。定職に就くのが遅くなると、それだけ技術やノウハウを持った人材の蓄積が遅れることを意味する。また、創造的な仕事の機会を取り逃がしかねない。さらに、若者の失業が増えると将来の社会保障を担う人が減り、年金制度などに支障を来す。犯罪の増加など社会的退廃のもとにもなりかねない。では、どうすればよいのか。原因、処方せんとも多様だが、ここでは二点ほど挙げたい。
雇用機会を創出すること、ベンチャー的気風を持ったチャレンジ精神旺盛な人材を育成することである。それには産官学の連携が必要であり、地域に貢献できる人材を地域で育てるという意気込みが重要だ。実際、県内大学ではインターンシップ(就業体験)を導入したり、学外から講師を招いたりと産官学の連携を進めている。また、県も県外就職促進事業「就職の翼」など、雇用機会を県外へと広げ、若者の就職支援に乗り出している。近年、社員採用において、スキル(技能)を持った人材より「スタンス」を重視する企業が増えている。スタンスとは仕事に向かう姿勢、態度のことであり、人材のビヘイビア(品行、態度)を大きく規定するものである。
県私大就職指導協議会(沖国大、沖大、名桜大、キリ短大、沖女短大)では学生三十八人、引率者(各大就職担当者)十五人が県外就職促進事業「就職の翼」(六月二十四日―二十八日)で東京へ出発する。目的は合同企業説明会、企業訪問、関東在住OB、OG合同懇親会への参加などだ。特に今回は十回目に当たるため「OB・OG合同懇親会」の二部構成とした。
第一部は就職講演会(講師・重田辰弥WUB東京会長)とパネルディスカッション「沖縄出身OB・OGの体験発表から県外就職の可能性をさぐる」である。その後、フリートーキングを行う。第二部は親ぼくパーティーである。学生は東京で働いている先輩のスタンスを感じる絶好の機会だ。自分が何をしなければならないのか真剣に考えてほしいものである。
(名桜大学就職室長)
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