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日 付 2003/08/17  朝・夕刊 朝刊  政治・行政  3  1版 
見出し <日曜評論>就職の翼/安田晃次(名桜大学学長) 
本 文
<日曜評論>就職の翼/安田晃次(名桜大学学長)


 八月、大学のキャンパスは二カ月の夏休みに入り急に静かになった。
 急速に発達した大型で強い台風10号が本島直撃、七日午前、中心が名護市近くを通過、本島中北部が台風の目に入った。直径百銑辰量椶離譟璽澄鴫菫は、まるで生き物に見えてくる。
 大学四年間と言えば、えーっと三百六十五日掛ける四で千四百六十日だが土日、祭日、夏冬春休みなど非登校日を除くと、授業日はなんと六百八日(42%)、一年間はわずか百五十二日前後になる。登校日数の多少を言っているのではなく、大学はこの六百余日の中で、一―二年次生には基礎教養教育、三、四年次生には専門教育、課目合計百二十四単位を履修、無事めでたく卒業に導く授業能力が問われることになる。私立大学にも第三者評価機構に依る評価制度が義務づけられる。(平成十六年四月より実施)大学を教育装置システムとみて、その生産性を計数化することは可能かも知れないが、教育対象は一人一人個性ある人間であり、将来に多くの可能性を秘め開花を期待される若者たちである。それだけに人材育成の実践は大変難しいものがある。
 多くの新入生は、まだはっきりした職業観を持って自己の将来設計、方向性を決めていないので、まず友人づくりを大事にして勉強、バイト等に精いっぱいの時間を費やしているのが実態だろう。従ってやがて来る「就職」については、まだまだ先の話で意識が薄い。もちろん、大学の目的は多様な社会に貢献・活動する人を育てることである。大学では一―二年次生教育を重視している。まず学籍番号でグループに分け、指導教官を付け、人と人の信頼関係づくりを始める。学則、出欠席、課目履修の仕方、友人づくり、サークル活動、先輩との付き合い方、地域社会との勉強会、宿泊研修、バス旅行、ボランティア活動(清掃…)などグループ活動を多く実施、いわゆる五月病対策も含め名桜大キャンパスに慣れてもらうことをねらいとしている。
 三年次生には、ゼミ(演習)の選択と就職対策の時期がやって来る。中でも就職については何かと話題、問題が多い。就職カード提出、履歴書の書き方、面接テストの受け方など就職ガイダンス、企業インターンシップ等が始まる。
 県内就職事情の特徴は(1)就職活動時期が遅い(2)就職への意識が希薄(3)公務員試験が終わった後、企業に目を向けるが、その時点では本土の求人はほぼ終わっている(4)県内志向が強い(5)職場定着率は悪い―こうした事情から名桜大学では職業選択の幅を広げるよう指導、積極的に県外就職を進めている。名桜大就職率87%(平成十三年)。
 四年前の平成十一年「就職の翼」は名桜大が県外就職支援事業として単独でスタートさせた。航空運賃など経費の不足分を大学が負担、教職員が引率し就職指導する手づくり教育で始まった独自のプログラムだった。その間、東京中小企業家同友会など、企業各社の皆様方に今日まで大変お世話になって参りましたこと厚くお礼申し上げます。
 平成十四年からは県の補助を受け、県五私大就職指導協議会[名桜大(幹事校)、沖縄大、沖国大、沖縄キリスト教短大、沖縄女子短大]合同により県外就職促進事業、「就職の翼」に取り組んでいる。
 第一回(三月二日―六日、四十七人)に引続き今回(六月二十四日―二十八日、三十八人)が第二回となり、学生たちにより(1)東京地区合同企業説明会参加(2)個別の企業訪問(3)引率者と同伴による就職指導(4)OB/OG合同懇談会(5)WUB東京(ワールドワイド・ウチナンチュービジネスアソシエーション)共催、重田辰弥会長(日本アドバンストシステム社長)の就職講演会とパネルディスカッション開催。その中で県外就職についてのアドバイスをいただく。例えば、一度は県外に出て厳しさを味わってほしい(挑戦せよ)、興味ある仕事を選ぶこと、沖縄に戻るなら人脈を持ち帰ること。
 平成十五年度「就職の翼」実施報告書は、今後も持続可能な型で進めていく重要な事業と考えると結論づけている。
 学校教育システムとして、入学(入り口)名桜大選択―教学(教育の質)―卒業(出口)就職の三点とも学生(顧客)の満足を得ることは易しいことではない。




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