琉球新報 記事詳細

日 付 2003/08/29  朝・夕刊 朝刊  その他  5  1版 
見出し <社説>ウチナーンチュ会議/ネット築く新たな試み 
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<社説>ウチナーンチュ会議/ネット築く新たな試み


 常夏の楽園ハワイに今週末、世界各地からウチナーンチュ(沖縄県系人)が集う。過去三回、沖縄で開かれた世界のウチナーンチュ大会が、移住国と母県とのつながりを再確認したイベントだとしたら、今回母県を離れて初めて海外の地で開く大会は、移住国同士のネットワークを確固たるものにするための新たな試みといえる。
 これまで例えば南米の一国で移住記念式典があっても、そこに世界のウチナーンチュが集うということはなかった。ところが今回は海外で、しかも北米や南米の大国ではなく、一地域のハワイにウチナーンチュが集うという。この意味は大きい。
 県などが大型予算を組み、華々しく展開して成果を生んできたこの間の大会とはまたひと味違って、手づくりだが中身の濃い、それでいて普段着のウチナーらしさがより出せる素晴らしい集いになりそうだ。
 大会は、ハワイ沖縄連合会と県系の経済人でつくるWUB(ワブ)ハワイが主催する第一回世界のウチナーンチュ会議と、七回目を迎えたWUB世界大会を中心に構成し、いずれも移民最初の到着地であるホノルル市で開催される。
 現地時間の二十九日夕、ワイキキでの歓迎レセプションで幕開けし、三十日と三十一日は国際パレード、沖縄フェスティバル、公式開会式、盆踊り、アロハ歓迎ラウンジと多彩なイベントが続く。
 メーンの会議は九月一日から二日間の日程で開かれ、沖縄の伝統文化とアイデンティティーから健康と長寿、女性の人権、ビジネスまで幅広く論議する。ウチナーンチュたちが気候も生活習慣も違う世界各地で培った知恵や、収集した情報を交換し合い、横のネットワークを築いていく考えだ。頼もしい限りである。
 移住社会の今日の繁栄、そして二世から三世、四世と続く県系人らの活躍ぶりは、かつて大海原を渡り、荒れ果てた土地を開墾していった一世たちの並々ならぬ苦労を抜きにしては語れない。
 先駆者の功績にあらためて敬意を表すると同時に、このハワイでの大会を、海外のウチナーンチュたちが新たな第一歩を踏み出す絶好の機会ととらえたい。
 そして母県にいる県民も、扇のかなめとしての役割を果たすだけでなく、彼らのネットワークに積極的にかかわり、切磋琢磨(せっさたくま)する形で双方が発展していければ最高だ。
 ハワイでの会議や沖縄フェスティバルには、南米を訪問中の稲嶺恵一知事も参加する。さらに沖縄から、県人会の関係者や経済人ら一千人近くがチャーターした二機のジャンボ機などでハワイ入りする予定で、大会のテーマでもある「アロハ ウチナーンチュ体験」が待っている。




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