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日 付 2003/09/04  朝・夕刊 朝刊  その他  5  1版 
見出し <社説>ウチナーンチュ会議/生かそう交流のきずな 
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<社説>ウチナーンチュ会議/生かそう交流のきずな


 ハワイで開かれていた第一回世界のウチナーンチュ会議(主催・ハワイ沖縄連合会、WUBハワイ)は、三日、成功裏に閉幕した。
 各種交流で深められた県系人のきずなをより強固なものにし、経済や文化など幅広い分野での新たなネットワークを構築してもらいたい。
 これまで母県の沖縄で過去三回、世界のウチナーンチュ大会が開かれてきたが、今回の会議は、母県を離れ初めて海外の地で開かれた。
 しかも、ハワイ沖縄連合会などボランティア中心の手作りの会議にもかかわらず、母県・沖縄をはじめ、米本国、南米、東南アジアなど各国から約二千人の県系人が集まった。母県・沖縄での開催の際には、「里帰り」という要素もあるだろう。しかし、海外での開催にもかかわらず、大勢の県系人が詰め掛けた意義は大きく、あらためて「ウチナーンチュのきずなの深さ」を実感させた。
 ハワイは、一九○○年、「海外移民の父」と呼ばれる当山久三率いる移民二十六人がこの地を踏んでから百三年余が経ち、現在は約二十三万人の日系社会のうち、県系人が約五万人を占めている。
 日系社会の中でも、県系人の結束力は強いといわれている。
 その地に各国から県系人が集合したことは、県系人同士の交流はもとより、ハワイの県系人に対しても大きな励みとなったことであろう。 会議の前には、祝賀パレード、そしてハワイの人たちに沖縄文化を伝える第三十一回沖縄フェスティバルも開かれ、多彩な芸能文化が披露された。これらの催しは、ウチナーパワーを内外にアピールすると同時に、沖縄とハワイの友好親善にも大きく貢献したといえよう。
 メーンの会議では、「ウチナーンチュのアイデンティティー」「健康と長寿」「県人会、村人会ネットワーク」「国際結婚」などをテーマにした分科会が開かれ、活発な議論が展開された。分科会での交流の成果をぜひ、各国、地域での活動に反映させてもらいたい。
 世界のウチナーンチュ会議と同時に、第七回WUB(ワールドワイド・ウチナーンチュ・ビジネスアソシエーション)も開かれた。WUBの活動を通して経済的な結びつきも地道ではあるが、確実に前進しつつあるのも確かだ。互いに知恵を出し合い、経済的側面でも、より強固な結びつきが構築されることに期待したい。
 次回の海外でのウチナーンチュ会議は、二○○八年に移民百周年を迎えるブラジルで開催することも決まった。母県を知らない若い世代が増えつつあるだけに、沖縄での大会、海外での会議を通しての交流はさらに重要性が増してきている。



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