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日 付 2003/09/07  朝・夕刊 朝刊  その他  23  1版 
見出し 第1回世界のウチナーンチュ会議/音楽を通して自己認識/22の分科会で「沖縄」論議/通信員ワイド/海外ウチナー 
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第1回世界のウチナーンチュ会議/音楽を通して自己認識/22の分科会で「沖縄」論議/通信員ワイド/海外ウチナー


 ハワイで一日から二日間の日程で、開催された第一回世界のウチナーンチュ会議(主催・ハワイ沖縄連合会、WUBハワイ)は、世界から沖縄県系人が集い成功裏に終了した。ハワイの東西センターで開かれた会議では、二十二の分科会が行われた。その中から「世界における沖縄のアイデンティティー(自己認識)」と「女性問題と権利」の分科会を紹介する。(名護千賀子ハワイ通信員)

アイデンティティー

 「世界における沖縄のアイデンティティー」と題して、パネルディスカッションが行われた。
 コーディネーターは、ハワイ大学社会学教授の知念ジョイス氏。パネリストは、沖縄、大阪、アルゼンチン、ハワイ、そしてカリフォルニア出身の二十歳代後半から四十歳代前半の男女。会場の七十席は全部埋まり二十人以上が立って参加した。まず、それぞれのパネリストが、個人の視点から見た沖縄のアイデンティティーを、十分間にまとめて発表した。
 「沖縄移民の歴史が各地の博物館に展示され移民の歴史が強調されているという観点から見たウチナーンチュのアイデンティティー」。「ハーフという言葉があるが、どこまでがウチナーンチュと定義づけるのか」。沖縄独特の音楽を取り入れアレンジしたアルゼンチンにおいての若者の音楽を例に挙げ、「音楽を通してのアイデンティティーの形成」。
 「ウチナーンチュのアイデンティティーは、育っていく環境によってつくられ、それは、一つの過程である。ウチナーンチュのアイデンティティーは、対人関係や世代、性別、社会的、政治的、感情的なさまざまなレベルで織り成されている」など、さまざまな意見発表があった。
 会場からも質問が飛び交い、パネリストがそれぞれの視点で意見を交換した。

女性問題と権利

 元ホノルル市検事・金城キース氏をコーディネーターに三人のパネリストが参加した。
 はじめにコーディネーターの金城氏がこのトピックの背景を語りそれぞれ国によって法律の違いはあるが、共通点は何か、またどのような改善がなされているかを話し合いましょうと呼び掛けた。
 ホノルル市の被害者プログラム局長デニスデュン氏は、ホノルル市における家庭内暴力、性的虐待の女性被害者の対応プログラムの背景とここ十数年の犯罪率の増加、プログラムの改善を語った。
 性的虐待トリートメントセンターの臨床心理学者イーブ・ヤナギダ氏は、センターの二十四時間電話のホットラインや無料で病院で検査を受けるプログラムを紹介。性的虐待を受けているのは、若い女性だけでなく誰でも犠牲者になる可能性がある。とくに、子供の犠牲はあとを絶たない状況だ。性的虐待の定義を認識すること、それを子供に教育することを強調した。
 最後のパネリスト、子供と女性の避難所の所長・リン・デュン氏が、避難所側の被害者受け入れのプロセス、設備などを具体例を挙げて説明した。
 会場からは、子供が性的虐待を受けている場合のサインは、または、ハワイに住む沖縄の人の被害者の特徴は、アメリカ兵による女性への暴行はよくあるのか、日本のようにバスに痴漢がいるのか、など興味深い質問が飛び交った。



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