琉球新報 記事詳細

日 付 2003/09/15  朝・夕刊 朝刊  政治・行政  2  1版 
見出し <夢をつなぐ・南米ハワイのウチナー社会>6/交流促す経済基盤/琉僑ビジネス進展に期待/ハワイ 
本 文
<夢をつなぐ・南米ハワイのウチナー社会>6/交流促す経済基盤/琉僑ビジネス進展に期待/ハワイ


 「沖縄のプレゼンス(存在)の大きさを初めて知った」
 第一回世界のウチナーンチュ会議が開かれた米ハワイ・ホノルル。大学院大学の講演で招かれた尾身幸次前沖縄担当相は゛ウチナーパワー゛を目の当たりにし、特にハワイ県系人の政治的な影響力に対する驚きを隠さなかった。
 一連の行事には、ハワイ出身の上下院議員が出席したほか州知事、ホノルル市長も顔をそろえた。「全米でも百人しかいない上院議員が夜のパーティーで最後まで残っているので本当に驚いた」と尾身氏。世界的な県系人ネットワークが持つ潜在力への認識も新たにしていた。
 海外で初めて開かれたウチナーンチュ会議には、南米や東南アジアなど世界十カ国から約二千人が参加した。ハワイ沖縄連合会とWUB(世界ウチナーンチュビジネス協会)ハワイが中心となり、行政に頼らないボランティアによる会議を成功に導いた。関係者からは「これだけのウチナーンチュが実際に集まっただけで成功だ」と安どの声も漏れた。
 元ハワイ州知事補佐官などを務めたアルバート宮里さん(七七)=本部町出身二世=は「県系人活動は最も活発で、ハワイ全島のせん望の的だ。特に今回は若い人たちが頑張った」と目を細めた。
 歓迎レセプションでハワイアンミュージックを披露したキース仲兼久さん(三六)は四世で、野村流音楽協会ハワイ支部長も務める。古典芸能歴二十五年、ハワイアンバンドを結成して十五年になる。「両方好きだが、沖縄音楽は自然とよい気持ちになる」と話した。
 沖縄県人の海外移民の先駆けとなったハワイでは、二世でさえ日本語を話せるのは少数派。移民から百三年を迎え、県系人はハワイ社会に完全に同化する一方で、伝統芸能を核に沖縄の精神文化やアイデンティティーも着実に受け継がれている。世界三十五カ国のウチナーンチュを訪ねた沖縄テレビ放送報道制作局の前原信一局長は「沖縄の伝統芸能はハワイや南米でも花開いている」と強調した。
 次回会議は五年後の二〇〇八年に移民百周年を迎えるブラジルが有力。アルゼンチン沖縄県人連合会の玉城智会長は「それぞれの地域の実情にあった会議のやり方があっていい。県系人の社会的地位の向上に大きく役立つ」と期待を込めた。
 稲嶺恵一知事は、世界のウチナーンチュ会議について「成功の原動力はWUBの力が大きい。しっかりとした経済的基盤による互いの交流が図られるようになると非常にうまくいく」と、今後の世界的な県系人ネットワーク(琉僑)ビジネスの進展に期待を寄せた。
(政経部・外間聡)
(おわり)



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