琉球新報 記事詳細

日 付 2003/09/15  朝・夕刊 朝刊  特集  13  1版 
見出し <世界へ広がる・ネットワーク>10ヵ国で18人 
本 文
<世界へ広がる・ネットワーク>10ヵ国で18人


 琉球新報は米国ワシントンDCに駐在記者を配置しているほか、台湾の三大新聞の一つである「中国時報」と記事交換協定を結び、本社に担当を置き台湾情報を伝えている。通信員らは、米国や南米など世界10カ国で合計18人おり、それぞれの国の県人会や県系人の活躍や話題を伝える。駐在記者と台湾担当は、グローバルなニュースを県民の視点でとらえて報道する。一方、通信員は海外のウチナー社会のローカルな情報を伝えている。

沖縄と米政府を結ぶ注目度高い定点観測/森暢平・米国駐在記者

 国防総省報道部の東アジア担当、ジェブ・デービスさんから電子メールが来た。ハワイに転勤になるため、お別れのあいさつだ。北朝鮮情勢の緊迫のため、デービスさんの仕事はかなり忙しかった。「次はハワイ海軍の報道担当。よりローカルな問題を扱うが、いろいろ経験したい」とデービスさんは言う。
 琉球新報駐在記者として、ワシントンで取材を始めて一年半。デービスさんとの思い出が一番多い。赴任直後、デービスさんが電話をくれ「お茶でも飲みませんか」と誘ってくれた。沖縄のメディアが米首都を定点観測するのは初めて。ペンタゴンが私の存在を気にしている証左だと思うとうれしかった。
 今春、普天間飛行場移設の使用期限について、沖縄の他紙が「日米は十五年問題を協議の対象としないことで合意している」と報じた時は「とにかく事実関係を調べてくれ」という私の要望に全面的に応じてくれた。
 沖縄県民にとってワシントンの情報が大事であるが、国防総省にとっても沖縄世論は重要だ。だが、ワシントンと沖縄の関係は一方的な誤解や思い込みが支配しているように見える。その間の情報伝達を円滑にするのも私の仕事だと思うし、少なくてもデービスさんはそれを理解してくれた。
 琉球新報がワシントンに記者を置いている意味は大きい。沖縄からも米政府からも注目されている仕事だけに、気をひきしめて頑張りたいと思う。

伝えたい゛身近な隣人゛台湾/渡辺ゆきこ(本紙嘱託・沖大助教授)

 琉球新報社は一九九七年二月、台湾の三大新聞の一つである「中国時報」と記事交換協定を結んだ。日本の新聞各社が続々と台湾支社を置きはじめたのは、翌九八年。本紙は国内各社にさきがけて、最も情報源に近い位置を確保したと言える。
 この締結を機に、毎週月曜日のアジアウイークリーに三本の翻訳記事掲載と台湾事情を紹介するコラム「チャイナ網路」がスタートした。時期的に李登輝総統による沖縄大投資計画の視察開始とほぼ時期を同じくするもので、開始当初から反響は少なくなかった。
 励ましのメッセージも少なくなかった。県警や税関から、記事関連の情報提供を求められたこともある。台湾の放送局の電話番号を教えてほしいというものから、「昔台湾でお世話になった恩人を捜してほしい」というものまで、問い合わせもさまざま。後者にはさすがに、十分応えられなかったが、このコーナーが、情報の発信源であるばかりでなく、台湾にアクセスする一つの窓口とも位置づけられていると感じられて、うれしかった。
 沖縄と台湾の゛近さ゛は、単に地理的な問題でもなく、過去の交流にとどまるものでもない。同じような資源を持ち、同じような問題をかかえているということでもある。台湾の成功も失敗も、沖縄にとっては、有用な情報だ。最も身近な隣人―台湾の今の姿を、これからも伝えていきたいと思っている。

ニュースの親善大使/フランス・知念賢祐

 日刊で配達される日本語版の新聞は、外国に居住する日本人にとって大事な情報源となっている。その数ある日本の新聞の中でも、琉球新報は沖縄の情報を数多く提供してくれている。
 その活用範囲は、日系人のみならず、必要に応じては、ヨーロッパの人々にも及んでいる。日本語を翻訳して活用することも少なくない。
 その意味からも琉球新報は、国際社会におけるコミュニケーション手段の一翼を担っていると言えるのではないか。
 また、外国における諸行事、在仏のウチナーンチュの活躍も紙面を通して沖縄に伝えられる。
 情報社会に欠かせない琉球新報は国境を超える「ニュースの親善大使」としても、海外に住むウチナーンチュやその関係者たちに貢献しているといえよう。

情報で生活豊かに/又吉喜美江

 フランスには、空手家、画家、服飾、語学、音楽、美術等を勉強するためきた学生、フランス人配偶者を持つ人などさまざまなウチナーンチュがいる。年二回、県人が一堂に集う機会がある。県人会の新年会と夏のピクニックだ。そこでの海外で役に立つ情報交換や同胞との交流が、フランスでの生活をさらに実のあるものにしている。
 在仏県人の大半が住む、花の都・パリは世界中からの観光客を魅了してやまない。そこに住む人々もオペラ座や凱旋がいせん門を前にすると、足を止め、「ふー」とため息がでるほど見とれている。
 同時にパリは、デモ・ストの町。今年前半は、イラク戦争、政府の年金、教育改革に市民が反旗をひるがえし、美しい町並みを何度も練り歩いた。その熱さ、泥臭さは゛スノッブ゛なフランス人の別の一面を見せてくれる。

親孝行の゛橋渡し゛/米国・鈴木多美子

 言葉の壁、文化の壁を乗り越え、その地でたくましく生きる県系人の生きざまは、感動に値する。一世、二世、国際結婚した女性、第一線で活躍する若者、沖縄からの客人を取材して十年余。
 「母が記事を手に近所中を回った」「両親が喜んでくれた。親孝行できた」などと、喜びの電話がくる。
 外国に住む子や孫、兄弟姉妹に思いをはせる沖縄の肉親、知人にこれからも力強く生きるウチナーンチュの姿と故郷への熱い思いが届けられたらと願う。

他人に幸せ与える/米国・當銘貞夫

 北米沖縄県人会はロサンゼルス地域が全米の中心を担っている。現在私は理事、副会長、歴史部長、民間大使を兼ねており、県人会の活躍ぶりを主として、もろもろの行事や県系人の人物紹介の記事を書いている。
 県人会はボランティアに依存している。地味な仕事であり、指導者たちの名が表に出ることはあまりなかったが、琉球新報の海外通信員による記事が大きく役立ったものと私は確信する。その一翼を担っていることに誇りを持つ。特に琉球芸能に携わっている方々にとって、普段の鍛錬の成果を発表し、琉球新報に紹介されることは、沖縄の親元、師匠、親類、友人ともどもこの上もない喜びであろう。他人の幸せは私自信のやりがいに通じるものだと、感謝している。

沖縄系社会の励み/ハワイ・名護千賀子

 琉球新報創刊百十年おめでとうございます。ハワイ沖縄連合会、WUBハワイ支部を中心に、ハワイでの沖縄系社会での出来事について伝えている。さまざまな行事を通して地元社会に貢献しながら沖縄の文化を懸命に継承しようとするハワイのウチナーンチュの話題が記事として掲載されることは、励みになるとよく言われる。
 通信員になって間もないが、取材を通していろんな人々と交わる機会があり、たいへん勉強になっている。これからも、おもしろい話題をどんどん伝えていきたい。

反応がありうれしい/ペルー・松田マヌエル

 通信員になって十年になる、あまり文章はうまくないが、ペルー県人会の人たちに助けてもらいながら原稿を送っている。
 ペルーは二世、三世の時代だ。一世のお年寄りは少なくなったが、沖縄の文化は引き継がれている。二世より三世のほうが、三線や民謡が盛んだ。私は以前、焼き鳥屋を経営していたが、現在は仕事をすべて息子に譲った。通信員として県人会の活動を取材するのが楽しみだ。沖縄や県人会から反応があるのがうれしい。ペルーのウチナーンチュの情報をできるだけ、発信して今後も続けていきたい。

誇りを持って書く/アルゼンチン・新垣善太郎

 通信員をやってから十五、六年にはなろうか。アルゼンチンのウチナーンチュ社会の事柄を報じてきている。しかし、手紙や電話で「もっと詳しく」と、文句がきたりする。「読まれているんだな」というありがたさを感じるとともに、注文通りにそれができないことが悔やまれることもある。
 新聞の書き手のおもしろさは、何といっても、いち早く人々に知らせることであろう。私は当初、日本からワープロを買い寄せ、FAXで送稿していたのだが、遅滞感があって今から十年前、パソコンを購入して電子メールに切り替えた。現在はスムーズに送稿できて満足しているが、そのかわり、漢字を忘れる羽目に陥っていて困っている。とは言え、アルゼンチンのことを知ってもらうために、誇りを持ってできる限り頑張っていきたい。

゛接触゛が活性剤に/キューバ・仲宗根健道

 キューバの沖縄県人会の活動は他諸国と比べ目立つ動きはありません。これは社会主義体制の中、団体での活動が制約されているのが主因です。
 しかし、沖縄関連の行事がある際の関心度は突出しており、これは異文化に触れられる渇望と表現できます。
 しかし、世代交代が進み、沖縄のアイデンティティーを維持するのは困難でもあります。
 百十年を迎えた琉球新報のように体制を維持し続けるには時代に沿う動きが求められ、キューバの場合は沖縄側からのさらなる接触が大きな活性剤になり、困難な社会状況の中では「救い」にも似た沖縄魂の再認識にもなるというのは決して大げさな表現ではありません。



備 考  
ニュース源 自社  記事種   写真枚数 3