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ボリビアレポート9(重田辰弥)
Sent: Sunday, November 17, 2002 11:39 PM
Subject: (ボリビヤレポート9)

 「デイアスポラとしてのWUB」

 ボリビヤの沖縄コロニーを見聞するにつけて国内の沖縄県人会や移住コロニーを思
う。沖縄県人会とくに戦前の関西の県人会は相互扶助的色合が強く、大阪鶴町や神戸
尼崎、神奈川の鶴見の県出身者は一種のコロニーを形成し在日韓国居住区に隣接して
いた。いずれも近くに造船、鉄鋼等の産業集積地があり、そこへの労働力供給基地に
なっていた。
この関西沖縄県人会に関しては神戸外大の富山一郎氏がその著書「近代日本社会の研
究」の中で詳細に調査報告している。また月間「奄美」の移住区に関する貴重な連載
ルポもある。小説では灰谷健次郎の「太陽の子(テダノファー)」の中でも生き生き
と描写されている。あまり知られていないが農耕を主とする本当の意味での沖縄コロ
ニーは埼玉の所沢や空港闘争で有名な成田にもあったようだ。

 この県人会の国際的敷衍とは言わないが、最近ポストモダニズムとかポスト・コロ
ニアルなどの文脈で「デイアスポラ」という観点から在外日本人が論じられている。
「デイアスポラ」論は元来ユダヤ民族研究から始まったが、その延長線で華僑や印
僑、果ては移住民について「離散共同体」として研究されるようになった。1999
年、ロサンゼルスで国際日系研究プロジェクトのシンポジウムがもたれ、ボリビヤは
じめブラジル、チリ、パラグアイ、ペルー等南米各国の日系人に関する社会学的研究
がされた。先に触れたアマミヤ女史の「サンタ・クルスにおける沖縄コロニー形成」
研究もこの時のHPから知った。
 この「デイアスポラ」論と少数・先住民や差別問題とリンクした研究が最近盛んに
行なわれている。
WUB東京の実態はこうした範疇で包むのは難しいが、全体としてはこうした観点から
論及も興味深い。以 上