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ボリビアレポート10(重田辰弥)
Sent: Monday, November 18, 2002 10:49 AM
Subject: (ボリビヤレポート10)

「ああ、南米!されど南米]

 ボリビヤ移民で奮迅し広大な耕作地と屋敷を得、子息を教育し銀行家や医者として
世に送り出した成功例をいくつも見た。しかし、その裏には数倍の悲惨と悲劇があっ
たに違いない。滞在中ボリビヤ県人会の会長と隣合せ歓談する機会を得た。
「糸満の高嶺村出身です」と語る会長に「すると糸満高校ですか?」と私は聞い
た。
会長は赤銅色に焼けた顔をおもむろに私から外し、遠くを見つめるように「いえ、私
は高校に行っていません。貧しくて義務教育だけで直ぐこちらに来ました」とかすか
に笑みを湛えて答えた。私は直ぐ自分が場違いな馬鹿な質問をした事に気付いた。こ
れが移民なんだ。

 潜在天然資源に恵まれているとはいえ南米最下層のGNPのボリビヤ、物なりのいい
肥沃な土地を移住者に無償で渡すはずが無い。現地でも未踏の荒地を提供したに違い
ない。一世の人々はそうした土地に懸命に鍬を打ち込み、時に病に倒れ時に絶望に沈
んだに違いない。辛酸とか営々とか粒粒辛苦とはこの人達のためにある言葉ではない
か。
 その背後に「遥かなる南米!夢の南米!憧れの南米!」と囃した時の為政者と統治
者の姿が見える。あれは棄民ではなかったか。
 しかし、いまボリビヤの県人はそれを歴史のエピソードとして受け入れ、今回我々

“One more step in Okinawa-South America”と受け入れてくれた。WUBでなけれ
ば得られない貴重な経験をした。以 上